こんにちは、テックリードという肩書きで fotowa の開発を担当しているエンジニアの大村です。今年の春は仕事帰りに等々力競技場でサッカー観戦が増えそうで今からワクワクしています。
今回は fotowa で昨年10月末にサービスインした、撮影予定地点を基準にフォトグラファーを検索する機能とその設計について紹介します。
fotowaとは
気軽にプロのカメラマンを予約して、ハイクオリティな写真を撮影できるサービスです。春ですと、お花見や、お子様の卒業・入学の撮影がオススメです
問題意識
従来、fotowa では、フォトグラファーの対応範囲を都道府県(複数設定可能)で設定するようになっていました。設定が容易で、検索も容易にできるのはよかったのですが、対応都道府県が増えていくに従って、「検索で出てきたフォトグラファーに依頼したが断られる」という事象が増えていくのが観測されるようになってきました
そのため、対応範囲として、フォトグラファーの移動可能範囲をより詳細に設定できるようにすることになりました
要件検討
まず、都道府県より細かい単位(市区町村)で設定・検索できるようにすることが検討されましたが、フォトグラファーに多くの市区町村を「隣県の〇〇市ってどこだっけ?」というのをいちいち調べながら設定していただくのは大変ですし、広い市区町村では都道府県と同様、上記の問題が発生するということで、この対応は選択しませんでした。
撮影地点とフォトグラファー拠点との距離をとって、一定範囲なら範囲内とする。という仕様も検討しましたが、離れ小島や山越えなど、対応しきれない範囲が出る可能性が高いことがわかり、こちらも選択しませんでした。
そこで、外部サービスの地理・交通系APIを利用して、詳細なフォトグラファーの移動可能範囲を計算し、検索に利用することを検討しました。
フォトグラファーに設定していただく内容は、
- 拠点の位置
- 移動時の交通手段(電車 or 自動車)
- 対応可能な最大移動時間(片道)
これをスケジュールに紐付けた上で、ユーザーが撮影予定地点を元に検索すると対応可能なフォトグラファーが一覧できる、という要件になりました。
APIは
- 上記要件に対応できる
- 地図情報と交通情報を両方扱っている
- リーズナブルな価格
という条件で探し、 NAVITIME API にしました。
手法
「到達圏検索API」が、これを実現するための最重要パーツになっています。API の詳細はこちらから確認をお願いします。
フォトグラファーの移動可能範囲入力
まず、フォトグラファーに移動可能範囲のための設定を入力してもらわないと検索できないため、先行してこちらの入力機能をリリースし、都道府県単位での検索にこちらのデータを対応させました。
拠点の位置(緯度・経度)を入力するにあたり、住所やスポット名から位置を取得できるように、住所検索API、スポット検索APIを使用しています。
検索
フォトグラファーの移動可能範囲入力同様、住所やスポット名から位置を取得し、撮影予定位置が含まれる、(到達圏検索APIで取得した)各フォトグラファーの移動可能範囲を検索し、そこからフォトグラファーの一覧を出すという流れになっています
「検索地点にn分で来れるフォトグラファー」ではなく 「それぞれ決めたn分で行ける範囲の中に検索地点が入っているフォトグラファー」を探す
結果
予約リクエスト(ユーザーからの撮影依頼)のキャンセル率 1の比較で、2017年11月と2018年11月で、8.1ポイント減少2しました。ユーザー数ベースで、この時期予約リクエストを行ったユーザーが撮影完了した割合は変わっていないので、「断られたが他のフォトグラファーを探して撮影」という手間だけが減っていることがわかります。
狙い通り「検索で出てきたフォトグラファーに依頼したが断られる」を減らす、というユーザー体験の向上ができたという結果になりました。 フォトグラファーにとっても、依頼の精度が高まり、断るためのコミュニケーションに使う負担が減るのでよかったと思います。
まとめ
撮影予定位置でフォトグラファーを検索できる機能を作り、ユーザーからの撮影依頼のキャンセル率(≒他のフォトグラファーを探す手間)を減少させました。NAVITIME 様には素晴らしいAPIを提供していただき感謝しています。これがなければ実現しなかったと言っても過言ではありません。